12:つくる責任、つかう責任
- Leo Nagasaki
- 2024年12月27日
- 読了時間: 4分
“生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、
責任ある行動をとろう”

世界で生産されている食品の約3分の1
(13億トン)が捨てられています。
「つくる責任、つかう責任」とは


現状はどうなの?
いま、人類は、1年間に地球が再生産できる自然資源の量を上回って資源を使っています。世界全体で、1年間に使えるだけの資源の量を使い切ってしまう日のことを「アース・オーバーシュート・デー」といい、国際的な研究機関「グローバル・フットプリント・ネットワーク」が算出して発表しています。

2023年この年は8月2日と発表されました。8月2日にその年に使える資源を使い切ってしまうということは、言い換えると、人類は、生態系が再生する早さよりも1.71倍速く自然資源を消費しており、足りない分は将来の人びとが使うはずだった分を先取りして使っているのです。つまり、人類がいまの暮らしをこのまま続けるためには、1.71個分の地球が必要だということになります。
オーバーシュート・デーは、国ごとにも算出されています(上の図)。2023年の日本のオーバーシュート・デーは、5月6日と発表されました。世界の平均よりもおよそ3ヶ月早く、資源を使い切っている計算です。
資源を使いすぎる生活は、温暖化や気候変動、さまざまな環境問題につながっています。1個の地球で暮らし続けるために、知恵を出し、協力して、資源を使いすぎない暮らしを作り上げる必要があります。
フードロス:食べられるのに捨てられる食品
日本では、年間約523万トンの食品が、まだ食べられるのに捨てられてしまっています。これは、毎日大型トラック1,433台分を、一人当たりにすると毎日おにぎり1個分の食べ物を捨てていることになります。

環境問題についてどれくらい知っている?
5つ以上の環境問題について、知っていると答えた生徒(15歳)の割合

持続的な生産や消費を進めていくためには、環境の問題についても知っていることが大切です。学校でも環境教育が行われるようになり、平均で先進国で暮らす15歳の62%が7つの環境問題
①大気中の温室効果ガスの増加
②遺伝子組み換え生物の利用
③核廃棄物
④土地開発のための森林伐採の影響
⑤大気汚染
⑥動植物の絶滅
⑦水不足
のうち少なくとも5つについて知っていると答えました。若い人が一番良く知っていたのは大気汚染と動植物の絶滅についてで、一番なじみがない、知られていない問題は、遺伝子組み換え生物と核廃棄物でした。
日本は平均の62%を下回る、44%という結果でした。あなたはどれくらい知っていますか?
持続可能な消費と生産のために、私たちができることは?
ではこのような問題への対策や行動、私たちにできることあるのでしょうか。
まずこの問題に大きく取り上げられるのは食品廃棄、いわゆる食品ロスです。世界の食用農水産物のうち、およそ3分の1が消費されることなく廃棄されています。先進国では6,800億ドル、途上国では3,100億ドルにも相当するロスになります。
食品ロスが発生する段階は先進国と途上国では異なりますが、先進国である日本では販売や消費段階での食品ロスの割合が高いため、必要以上の食品の供給を抑えることが求められます。
私たちの食生活の中でも余分に購入し過ぎない、できるだけ食材は使い切る、調理されたものはできる限り残さない、といったことに注意する必要はあるでしょう。
フードバンクへ寄付
フードバンクへ寄付すれば食品が無駄にならないうえ、食品を必要としている人の助けにもなります。フードバンクは食品だけでなくお金を寄付することも可能です。
リサイクルやリユースにも気を配る
2000年を境に日本のリサイクル率は上昇し続け、2012年には20.4%に達しています。しかし世界的に見れば日本のリサイクル率はまだまだ高いとは言えず、韓国やドイツ、オーストラリアに比べると大きく下回っていることから、さらなるリサイクルへの取り組みが必要となります。
企業単位で見れば、温室効果ガスの排出量の低減を推進するといった動きも必要です。排出削減目標を社内で設定し、エネルギー効率の向上や再生可能制限の利用比率の上昇、メタン排出量、二酸化炭素排出量の抑制など、様々な施策を打ち出す企業もあります。
また、クローズド・ループ・システムへの取り組みを進める事業者もいます。これは市場で販売した製品を使用後に回収し、部品を再生あるいはリサイクルすることで、埋立地に送る廃棄物をできるだけ抑制するという取り組みです。このような廃棄物の抑制や再利用も今後はさらに促していくことが、目標達成には不可欠となります。
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