“世界中から不平等を減らそう”
多くの国でかつてないほど格差が広がっています。
2021年には、世界のもっとも豊かな10%の人が、
世界全体の富の約76%を持っていました。
「人や国の不平等を無くそう」とは
現状はどうなの?
世界中で広がる格差
富と所得の格差が多くの国でかつてないほど拡大しています。2021年には世界の人口のもっとも豊かな10%の人が持つ富が世界全体の富の76%に相当し、世界の半分の人たちはがもつ富の割合は2%にすぎませんでした。
1学年100人、富を100冊のノートとすると、もっとも豊かな10人に76冊が配分され、もっとも貧しい50人には2冊のノートしか配分されないことになります。
もっとも豊かな人のグループにはますます富が集まり、豊かな状況が固定化する傾向がある一方で、もっとも貧しい人たちのグループでは、子どもたちが量も質も不十分な食事しかとれなかったり、病気になっても病院にかかることができなかったり、学校に通うこともできなくなったりと、さまざまな困難に直面します。教育の機会を失えば、希望する仕事についてお金をかせぐことも難しくなり、貧しい生活からぬけ出せず、その人の子どもの世代にも苦しい生活が受け継がれてしまうことになります。
ひとつの国の中にもある格差
国によって、その豊かさに差があることは知られていますが、ひとつの国の中にも、格差があります。SDGsではその問題にも触れています。
都市部と農村部の差
極度に貧しい人の割合は、都市部で5.3%であるのに対し、農村部で17.2%と、3倍以上の差があります。
平均すると見えなくなる格差
以下のブラジルの地図は、SDGsが採択される前のMDGs(ミレニアム開発目標)で定められた、「1990年から2015年までに、5歳未満の子どもの死亡率を3分の2引き下げる」という目標の達成割合を示しています。
①国全体の平均 (緑だ、目標達成!)
②州レベルで見たとき(あれ、黄色や赤色の州がある。目標達成できていない州があるのかな?)
③市町村レベルの自治体で見たとき(うわ、ほとんど赤くなっちゃった!)
この地図は、ブラジル政府保健省による2008年データによるもので、5歳未満児の死亡率は、国レベルでみると、1000出生中、1.0〜17.5人(緑色)と、目標を達成し、良い結果のようにみえます。
でもこれは、首都ブラジリアや、リオデジャネイロ、サンパウロなど、人口の多い大都市が非常に良い数値となっており、国の平均を引き上げていたのです。細かく見ていくと、場所によってかなり差があり、さらに取り組みを強化していかなければならない地域が明らかになってきます。
「誰ひとり取り残さない」ことを目指すSDGs。「平均」から取り残されてしまう人がいないように、気を付けて細かくデータをとったり、特に厳しい人に支援が届くような活動を考えたりすることが大切です。
「学ぶチャンス」の格差
特に開発途上国において、障がいのある子どもとない子どもでは、学ぶチャンスに大きな差があります。
中学校に通う年齢の子どものうち、学校に通っていない子どもの割合
どんな取り組みが行われているの?
経済格差を減らすための取り組み
• 最低賃金の引き上げ
多くの国で最低賃金が引き上げられています。例えば、アメリカでは連邦最低賃金を15ドル(約2,000円)にする提案が進んでいます。これによって、低所得層の生活を安定させる狙いがあります。
• 発展途上国への資金援助
国際通貨基金(IMF)や世界銀行が、途上国に低金利の融資を行い、インフラ整備や教育に使える資金を提供しています。例えば、アフリカ諸国では学校建設や道路整備にこれが役立っています。
マイノリティの権利拡大
• 障害を持つ人への支援
バリアフリーなインフラ整備や、障害者雇用の枠を増やす政策が進行中。例えば、日本の「障害者雇用促進法」は企業に一定割合の障害者を雇用する義務を課しています。
私たちにできること
1. フェアトレード製品を選ぶ
例えば、コーヒーやチョコレートを買うときに「フェアトレード」マークがついているものを選びましょう。これにより、生産者が適正な報酬を受け取れるようになります。こうした小さな選択が、貧困地域での不平等解消につながります。
2. 選挙に参加する
政策を決めるリーダーを選ぶことは、不平等を無くす大切な一歩です。人や国の平等を重視する候補者を選ぶことで、自分の意思を反映させましょう。
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